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2013年07月29日

町工場でものにした10枚刷り本番・水なしUV印刷の秘伝が公開される

KBA MePrint社のジーニアス52UV印刷機がIGAS2011で衝撃的な実演公開がなされた。その機械が株式会社アンリに設置されたのが2011年9月下旬、この斬新な機構の印刷機を正常化運転にこぎつけるのにたっぷり、1年半がかかった。アニロックスロールとキーレスインキングに適した水なしインキの開発、ホワイト水なしインキの開発、標準化の基での製版手法の確立、今までの仕組みと全く違い、試行錯誤の連続であった。
野々下洵社長、梶原部長の決して諦めない、不屈のチャレンジ精神がついに実り、日本で初めての水なしUVキーレス・アニロックス印刷の仕組みを確立してくれた。
7月26日(金)株式会社イリスの主催のもとで株式会社アンリは工場を一日開放し、本番実演を惜しげもなく披露してくれた。レンチキュラーレンズ材への本番・3D印刷を立ち上げ始動から見せてくれる。何と10枚通ると本番製品ができあがるではないか。見当はバッチリ、刷り込んでも色変化は起きない。それもそのはず、水なしUV印刷、それにキーレス・アニロックス印刷でインキ肉盛りの部分濃度差が起きない仕組みなのだ。レンチキュラーなる高価な素材を印刷していて、まるでデジタル印刷機並みの立ち上がりの速さと安定さだ。
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これはデジタル印刷機?と錯覚すら受けた驚きの立ち上がりの速さ
早くからこの方式に注目していた、その筋のプロ印刷人が関東地区から、中部地区から、全体で20社ほどが馳せ参じてくれたのだ。それほどその筋のプロから見て理想系の本番作業であった。
次に、ジョブ替えに移る。版交換、洗浄(ヤレ紙を通してのインキ掻きとり)の作業は5分で終わってくれる。次の仕事は厚紙カード印刷だ。紙の厚みが変わっても1箇所の調整でセットは完了!これはサテライト圧胴方式のメリットが効いたものだ。これも10枚本紙を通したら、本番入りとなってくれる。プロの印刷人も全く、驚嘆の反応である。
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厚紙ボール印刷が10枚の通しで本番入り・・・世界最速前準備スピード?
現下の印刷成熟化の社会では、競合度の高い一般印刷分野ではなかなか儲けさせていただけない。では、特殊小ロット物にかけよう、野々下社長はドイツまで飛んでいってこの機械の導入を図った。しかし、1号機の悲しさで最初の半年はまるで商売にもならなかった。これを一つ、一つ、問題解決に当たり、その一方で市場開拓にも励んだのだ。
苦労したからこそ、あとに続く方は、苦労をさせたくない。野々下社長の心意気に大感謝した本番実演会であった。