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2011年10月12日

これほどの印刷機がなぜ、今まで日本に上陸しなかったのか

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Genius機は無事、アンリ株式会社に設置された
IGAS2011で注目された水なし専用印刷機 Geniusは9月25日(日)、無事にアンリ株式会社に納入され、初期試運転を終えた。筆者は2週間を優に過ぎているので、てっきり、稼動に入っているものと思い、同社を訪問してみた。想像に反し、初期準備の不備により、仕事はまだ、本格的に通していない。製版と印刷とのマッチングをとるトーンカーブを盛んに算出していた。野々下洵社長は「確かに機械的にはすばらしい内容のものだ。しかし、日本の受け入れ側が….」と、口をつぐんでしまった。一体どういうことかと、オペレーターに事情を聞いてみた。代理店のGenius専任担当者が、IGAS直前に退職してしまい、それまでの打ち合わせをしていたことの引継ぎが途切れ、結果的には、付帯装置の整備が未だにされていないという。一瞬耳を疑った。こんなことが今の世にあるものだろうか。
しかし、振り返ってみると、Geniusは誕生して10年以上も経ち、世界に170台以上もの実績があるのに、日本にはなぜか、今まで1台も入っていなかったのだ。こんな不思議さはなぜ、起きたのであろうか。
筆者はもと、ドイツ系の機械屋に長年在籍し、この姿を横から眺めてきたが、印刷界に食らいつき、印刷会社とともに成長を図る、印刷界への深い情熱と愛着がない所以と見て取った。表面きってはいや、自分たちも情熱を持っていると弁解するだろうが、実行が伴わっていないと、結果も生まれてこないのだ。
しかし、この革新的な名機の戦力たるや、まさに、Printing2.0の世界を行ってくれることも確かだ。随分、出足は遅れてしまったが、関係者にねじを巻いて、さらに、前を進もうと誓った次第である。