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2006年12月31日

「2006年の活動を振り返って」

大気汚染防止法の施行に当たり、環境配慮を前面に掲げる我々は自らを自問自答してみた。
印刷現場で発生するVOCの実態を我々自身が掴んでいないのではないのか。
東京都のVOC対策アドバイザー制度を活用させていただき、会員企業の印刷現場におけるVOC放散値の計測に当たった。その結果、よくぞ今まで無頓着にして環境への配慮を意識しないで、印刷現場の仕事をしていたかと反省させられた。
文星閣では水あり印刷階と水なし印刷階があり、両者のVOC放散値を測定したが、「水なしでは水ありに比べ、VOC発生量が60?80%削減されている」と言う判定を都からいただく結果となった。
また、水洗浄性インキ(W2インキ)とW3洗浄剤を使うと洗浄作業時に発生するVOCを大幅に削減できることも判明した。
よって、自分達の啓蒙を意識したVOC計測事業に着手することとし、会員には無償で測定サービスを実施させていただくことにした。文祥堂印刷、久栄社六三印刷東芝ドキュメンツ橋本確文堂高桑美術印刷での計測の結果、水なし印刷では印刷室でのVOC発生量は至って低い値になっていることが判明した。
今後は印刷現場での環境改善のあり方まで踏み込んで会員サービスをはかって行きたい。
バタフライロゴの不正使用の問題が発生し、その対策として会員の英知を集めた結果、上場会社に向けてバタフライロゴの正しい使い方、水なし印刷の環境優位性のダイレクトメールを協会名で出してみた。これには会員間でデザインコンペを行い、優秀作品を採用する自己啓発策をとったが、結果、上場会社筋には「水なし印刷のVOC発生の抑制効果」に感心をいただいた。この手法は今後も継続したい。
今年は協会が設立され、4年を終えたが、業界での一定の認知もいただけるようになった。日印産連「オフセット印刷サービス」グリーン基準の改定が行われ、このグリーン基準に水なし印刷が1項目として明示され、水なし印刷の認知度が上がったものとなってくれた。
恒例のセミナー・見学会は8月に岩手県奥州市の六三印刷様で、10月の全日本印刷フォーラムに合わせて、防府市の大村印刷様で「ワンランクアップの印刷」とした、より高い技術目標を掲げて実演の勉強会を行った。
12月の見学会は新日本印刷羽田工場で行われ、参加者制限を加える盛況裏に開催することができた。
2007年はIGAS展が開催されるが、第2回世界水なし印刷大会を開催し、世界市場でのバタフライロゴの一層の認知、水なし印刷の特殊原反、特殊加工用途なる新しい高度な価値付加と言うハードルにも挑戦してゆきたい。
日本水なし印刷協会(日本WPA)
事務局長 五百旗頭忠男