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2006年12月20日

水なし印刷工場ではVOCの放散量は低い! 金沢の橋本確文堂でも実証

12月20日、日本WPAの計測班は金沢市の橋本確文堂本社工場の印刷室のVOC測定を行った。
全台がハイデルベルグ印刷機で、菊全4色機が2台、菊全2色反転機が1台、菊半裁4色機が1台、計4台が水なし専用で運用され、A全単色機1台、菊半裁2色機1台の計2台は水ありで運用されていた。
始動前の工場中央部はVOC放散値「0」を示してくれた。いっせい稼動に入った状態では16.3を示していた。各々の機械のVOC放散値は次の通りである。
●菊全4色機1(水なし、通水ローラーつき)   3-4胴間:20.5、2-3胴間:28.0
●菊全4色機2(水なし、通水ローラーつき)   3-4胴間:13.4、2-3胴間:28.0
●菊全2色反転機(水なし、通水ローラなし)  1-2胴間:12.1
●菊半裁4色機(水なし、通水ローラなし)   3-4胴間: 4.7、2-3胴間: 4.2、1-2胴間:4.4、
この機械には空調ダクトからの冷風が良く当たっていてより低い値を示していた。ところがこの機械の広報部でエアーの流れの吹き溜まり部ができていて、34と言う値を示した箇所が発見された。空調のエアーの噴き方でこれは解決できよう。
●A全単色機(水あり)  湿し水部:75.0
●菊半2色機(水あり)  1-2胴間:31.0
やはり、水あり機では水なし機に比べ高い値を示している。
特筆すべきことは菊半裁4色機と菊全2色反転機は通水ローラーなしで水なしをこなしていた。工場長は水なしへの切り替えで苦労話を披露してくれたが、空調のエアーの噴き方、冷風がなるべく該当機の方に向いてくれるように空調ペダルの向きを調整した。その上、中央部の吹き出し口には埃防止のフィルターをつけた。これで夏場でも乗り切っている。地汚れがおきそうになると硬化剤AT-50をインキに混ぜている。この機械は年期ものの機械であるが、水なしに転用したお陰でまだ、現役機として立派に働いてくれている。仕事が小ロット化したおかげで既存機の水なし化がはかれやすくなってくれたのだ。
橋本確文堂は環境をテーマにも取り上げる、月刊誌「自然人」を発刊していて、同社の企業イメージと水なし印刷とのマッチングを上手に図っていた。
比較のために水あり専用の近くの工場を訪問しVOC計測を行った。
この工場では国産菊全4色機が2台入っていた。1台は停止していて、1台は仕事が満杯の運転を行っていた。工場の換気はよいため、工場内は「0」を示してくれた。
ところが、印刷稼動に入ったとたん、2-3胴間は「275」、3-4胴間は「257」と言う値を示した。機長に聞いたら、アルコール5%を入れていて、エッチ液としてはあるインキメーカーのものを使用しているとしていた。
橋本確文堂のハイデルベルグ水なし機と比較すると国産水あり機のVOC放散値は大変高い値を示していた。
hashimoto VOC.JPG
橋本確文堂本社工場でのVOC測定風景