導入事例2

北東工業株式会社

代表取締役 東條秀樹 氏

オフセット印刷の最終進化形態は“LED-UV水なし印刷”、
印刷機全台で“水なし印刷”を採用し、“ミスなし印刷”のステージへ

1969年創業以来、印刷関連企業のための安心の生産工場を志して邁進している北東工業株式会社。同社ホームページをご覧になればお分かりの通り、トップ画面に一際目立つ「社長お叱りボタン」(社長に直接クレームを書き込むことができる)を設置し、“自分たちのミス、事故を開示して、自分たちの肥やしにして”日々成長中の元気満ち溢れる大阪の商業印刷会社である。同社は2013年1月の水なし印刷技術の採用を皮切りに、水なし専用機の導入、そして世界初となる「LED-UV水なし印刷」の実運用と突き進み、2017年9月には全7台のオフセット印刷機を水なし印刷に切り替え、品質や作業性の向上等、数々の成功と進化が続いている。

「強気のリノベーション!水なし印刷導入」

水なし印刷に最初に取り組んだのは2013年1月のこと。2台の菊全判両面専用4/4色機について、両面専用機ならではの機構に起因するファンアウトの問題を解決するべく取り組みを始め、印刷機のリノベーションと水なし印刷への転換をしたことでファンアウトが発生せず、見当精度が劇的に向上。また、水あり印刷と比べて色ムラやブロッキングの事故も減少し、さらに印刷の立ち上がり時間も短くなったことで作業スピードや全体の効率向上も図れた。現在では全台が水なし印刷専用機であり、CTPはすべて水なし用となっている。

アキヤマ機械
菊全両面8色機

アキヤマ機械
菊全両面8色機

桜井グラフィックシステムズ
LED-UV 菊全4色機

「社内のモチベーションがアップ!」

「こうして印刷会社として生き残れたのは、水なし印刷とオペレーターが対応してくれたおかげです」と話す東條社長。水なし印刷は、湿し水の管理が不要となり、インキの出方だけを判断すればよい。つまり、オペレーター教育の期間も短くなり、若手もやりがいを感じ、社内のモチベーションも上がることに。印刷未経験の人でもオペレーターや機長になれ、会社に貢献できる形が出来上がった。

「世界初!LED-UV水なし印刷」

水なし印刷転換の成功に続き、2014年に同社は世界初となる「LED-UV水なし印刷」に挑戦。通常の水あり印刷でLED-UV印刷をする場合、水幅が狭いので印刷が難しくなるが、それが解消。また、LED-UV印刷は即乾なので、ブロッキングの心配をする必要もない。こうして、もっとも標準化しやすく、かつ安定性と瞬発力のある印刷機が実現した。

「大きな飛躍の土台となったJapan Colorの取得」

同社は水なし印刷の採用と並行して印刷標準化への取り組みとしてJapan Colorマッチング認証も受け、水なし印刷全般においてJapan Color範囲内の標準化が図れるようになった。つまり、経験則や人によるものを排除した“共通のものさし”が出来上がった。東條社長は「認証取得が目的ではなく、社内での水平展開が目的。どの機械で誰が刷っても同じになるように。」と語る。

「高難度な仕事ほどLED-UV水なし印刷に託す」

急ぎの仕事や、すぐに次工程にかからなければならない仕事、乾燥性の悪い用紙への印刷などで同社は優先的に「LED-UV水なし印刷」を使う。仕事全体を滞りなく流すためである。「LED-UV水なし印刷」は資機材コストが高いという懸念もあるが、印刷コスト全体に占める資機材コストの割合はもともとそれほど大きくないので、気にならないレベルだという。

「むしろ、新技術を開発したという会社全体のモチベーションアップや技術者としての誇りを持てたという精神面への好影響、さらには事故が減っていく、オペレーターの成長スピードの加速といったメリットの方がはるかに大きい。」と東條社長は語る。

「罪は憎むが人を憎まず。事故報告と改善」

同社は2002年から、事故・ミスロスの見える化をがむしゃらに推進した。事故が起こったら、1時間以内に事故報告書が社内のインフラネットに上がる。更に、どのような対応をしたか、今度どうするかを上司・社長に上げ、その後の効果確認も上げてもらう。最後の承認は社長となり、今後の事故減少に反映される。この取り組みの影響で、それまでの色むら・ブロッキングなどの数え切れないほどの様々な事故が徐々に減り、事故を起こさない仕組みのデータベースとなっている。

北東工業株式会社
代表取締役:東條秀樹
大阪府大阪市中央区上町1-19-4
URL:http://www.hokuto-k.co.jp/
導入日:2013年1月