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日本WPAの活動  - 2016年6月 -

日本WPA特別セミナー開催   誰も知りたいdrupa2016の真相〜現場感覚あふれるdrupa報告

6月24日、日本WPAは第一ホテル両国において、五百旗頭忠男氏(日本WPA前事務局長)が、「drupa2016報告〜印刷界の近未来を俯瞰する」と題して講演された。
五百旗頭氏は、1962年の第4回から連続13回に渡りdrupaを取材してきた経験を持ち、この「drupa皆勤賞」とも言える深い経験、各方面の重鎮との交流、外国メディアへの取材を通じて、五百旗頭氏独自の中小印刷業の視点からの、「誰も書けない、誰もが知りたい」貴重なdrupa報告であった。
 冒頭,drupa開催の歴史に触れ、1951年の第一回展は、わずか10ケ国・525社の出展しかなかったが、2000年のミレニアム記念の第12回展には、開催市のデユセルドルフ市の人口に迫る42万8000人以上が来場したこと、また開催回毎に付けられるニックネーム「オフセットdrupa、CTPdrupa、インキジェットdrupa」等々が紹介された。また、最大の展示スペースを有する出展社が、ハイデルベルグからHP(ヒューレットパッカード)に変わるなど、デジタル印刷を象徴するdrupaの変遷を紹介された。
種々の報告の結びとして、「インクジェット方式デジタルはまだまだ開発途上であり、トナー方式のデジタル印刷は完成度が高く、実用面での不安の無い」ことが示された。
 更には、「自社単独でのものづくりよりは、ネットワークを活用してのものづくりをする方が、勝負できる時代になってきている。現有の手持ちの機械類はリノベーションをして性能アップを図ってゆくべきで、新台を考えるなら小型デジタル印刷機の導入であろう。ネットワークとしては、日本WPAのような団体をうまく活用することが重要で、物づくりに長けた会員が多く、ぜひ、相互交流を図っていただきたい。」と結ばれた。
なお、五百旗頭氏の講演録はここをクリックしてご覧いただきたい。

2016年6月30日

一社)日本WPAの事務局長の交代:最大の功労者・五百旗頭忠男氏退任

一社)日本WPAの事務局長の交代:最大の功労者・五百旗頭忠男氏退任
 
 日本WPAは、2001年に創立準備会を開催した後、水なし印刷を通じた情報交換、会員間の交流及び協力、情報発信、セミナー・見学会の開催等の活動を精力的に行い、環境保全、事業発展、ひいては印刷業全体の発展寄与してきた。バタフライロゴを通じて環境保全面で独自の印刷ブランド価値を築いてきた。
2010年10月8日には、一般社団法人日本WPAとして衣替えし、本年度は15年目の節目の年を迎えることなった。
 日本WPAの創設時から事務局長として協会の発展に偉大な功績を残した五百旗頭忠男氏が退任し、新たに水なし印刷に精通している小川勇造が新事務局長として就任する事務局体制の変更が、6月24日に第6回定期総会で可決・承認された。

前事務局長:五百旗頭忠男氏のコメント
「お陰様で皆様のご支援をいただき、無事、14年間の勤めをすることができ感謝に堪えません。まだ。やり残した仕事もあり、今後とも、印刷界の中で、業界のお役立てにつながる仕事をさせていただきます。改めてよろしくお願いいたします。」
新事務局長:小川勇造からのコメント
 「日本WPAの発展は、協会会員の皆様が水なし印刷を通して、経営改革、印刷標準化、環境保全に積極的に組まれた結果の賜物であります。今までの素晴らしい伝統を守りつつ、デジタル化の新しい潮流にマッチした改革を皆様のご助力、ご支援のもとに、事務局として粉骨砕身努力してまいります。なにとぞ、よろしくお願い申し上げます」

2016年6月27日

第6期定期総会 開催される 第7期は新体制にて変革を目指す

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 (一社)日本WPA第6期定期総会は、6月24日(木)、13時10分より、第一ホテル両国で、54名の会員が集まり開催された。
 冒頭、田畠会長より第6期の事業活動として、IGAS15においての桜井GS製印刷機による水なしLED-UV印刷の実演とその結果に言及され、ごく近い間に、幅広い印刷分野で採用される見通しが示された。
 更には、世の中の環境画像ロゴを解析できる「AR日本WPAアプリ」が、12月のエコプロ展で「GPN大賞・審査員奨励賞」を受賞したことが報告された。
 平成21年から開始したカーボンオフセット事業は、オフセット量が累計4300トンを超え順調に推移しているが、一方、CFP事業については、参加会員が限定され伸び悩んでいることが示され、第7期には新しい制度に移行する計画が発表された。
 2001年に創立準備会を開催した日本WPAは、15年目の節目を迎え、自らも変革していく必要と決意が示された。
 その後、議案の審議に入り、第1号議案(第6期事業活動と収支報告)、第2号議案(第7期事業計画と予算案)第3号議案(理事役員改選と事務局体制の変更)、第4号議案(事務所所在地に関する定款の変更)が、原案通り可決・決定された。
 主たる可決・決定事項は、多額の経費負担となっているCFP事業を新制度に移行させること、3名の新理事の就任および事務局長の交代(五百旗頭忠男氏から小川勇造氏へ)などである。
新就任理事:株式会社ウエマツの福田浩志社長、北東工業株式会社の東條秀樹社長、株式会社ファビオの池上鎌三郎社長

欧州市場での水なし平版は、新たな進化を加速中

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6月3日,drupaに先立ち、チェコ共和国の東レの水なし平版工場を見学した。
東レは2013年、中央ヨーロッパに位置するチェコ共和国で、水なし平版の製造工場を稼働させた。
欧州市場での水なし平版は、日本とは異なる独自の進化を遂げている。商業印刷に加えて、水なし印刷の特性を生かせる分野に特化した販売戦略を採用している。
主要な印刷分野は、新聞印刷、ラベル印刷、セキュリティーカード印刷、CD/DVDへのダイレクト印刷などである。
既に欧州の新聞印刷分野では水なし版は確固たる地位を占め、KBA社の水なし印刷専用機用に水なし平版を19社の新聞社に納入し、全新聞に占めるそのシェアは10%にも達している。drupaの最終日には、20社目の新聞社がインド洋上のLe Union島に誕生したことを、KBA社が発表した。
さらには、水なし平版の特長を生かしたセキュリティカード分野への販売も活発で、欧州各国のIDカード(日本のマイナンバーカードに相当)やパスポート、運転免許証などの印刷に採用されている。UV印刷に優れること、超高精細印刷が可能ななことなどが評価された結果である。
さらに水なし版のUV印刷適合性、非吸収体原反への印刷適合性により、CD/DVD印刷などで高シェアを占めており、欧州の水なし版は、新たな進化を加速している。

2016年6月15日

インド洋の島にコルチナ水なし輪転機が設置へ

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レユニオン島の地図上の位置、

kBA社はdrupa最終日に枚葉機の販売成果が1億ユーロに達したことを発表したが、その他に最終日に20台目のコルチナ水なし輪転機がフランス領レユニオン島(インド洋上にある島)に設置されると発表した。
コルチナ水なしコンパクト輪転機は、新聞印刷、準商業印刷のロットの少ないものに向いていて、18台はヨーロッパに設置、1台はドバイの新聞社・Gulf Nwesに設置されている。

20台目の機械はより自動化された、ドライヤー付きの仕様で、なんとインド洋上の島、レユニオン島に設置される。ここでは新聞印刷と同時に、塗工紙への準商業印刷もこなすことになる。インキを変えなくとも、ドライヤーなし、ありの切り替えで印刷できるのがみそである。4/4印刷ができ、オートペースター、KF6SC/ジョーフォールダーをつけている。

信頼度の高い機械、版式であるこそ孤島にまで採用されていくのだ。

2016年6月13日

究極のエコ印刷へ水溶性インキによる水なしUV印刷

 今回のdrupa2016にて、東レは得意とする素材開発技術を生かし「UVインキに適用できる親水性ポリマー」を開発し、水系洗浄剤で洗浄可能な水なしUV印刷システムの開発を発表した。
 近年、油性インキの印刷からUV印刷(LED-UVを含む)への転換が急拡大している中、UVインキ印刷では、油性インキ印刷に比べても、印刷中のインキから発生するVOCはもちろん洗浄工程に使用する揮発性有機洗浄剤から発生するVOCの量が多く、VOC削減の重要度がますます高まってきていた。
 中国やアジアの新興国でPM2.5に起因する環境汚染対策が喫緊の課題であり、PM2.5の原因物質であるVOC削減が、印刷業界にも求められている。

 今回の東レが発表した水系洗浄液で洗浄可能なUV印刷は、印刷工程や洗浄工程でVOCを発生させない究極のエコ(オフセット)印刷である。

 東レは、2017年より世界各国のインキメーカーにこの「親水性ポリマー」を販売開始するとのこと。さらには、この「親水性ポリマー」を用いたインキは、印刷温度のマージンが広がる(より高い版面の温度でも印刷可能)とのことで、新インキの実用化による水なし印刷の新しい環境価値付与と、印刷許容温度が広がる刷りやすさで、新展開を切り開いていただきたい。

アドバンク・渡辺功さんおめでとう 2016年「攻めのIT経営中小企業百選」に選定

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 経済産業省では、平成26年度から「攻めのIT経営中小企業百選」を実施し、攻めの分野でのIT利活用に積極的に取り組む中小企業を選定しておいるが、3年間で計100社を選定することを予定している。昨年度は、わが会員の(株)日進堂印刷所とプリントネット(株)が受賞した。同省は6月9日、2年目となる27社を発表。印刷業から、今年は(有)アドバンク(京都市下京区、渡邉功 社長、前日本WPA理事)が選定された。同社は、中小食品スーパー向けのチラシ企画印刷を専門に手掛けてきた。売上の伸びないスーパーが広告費を抑える傾向にある中、より効果的な集客方法として、スマホアプリ「コラボレAR」を開発して無料で運用している。「コラボレAR」は、スマホで様々な来店メリットを紹介して来店を促す 「O2O(Online To Offline)」の仕組み。資金力の弱い中小企業に対しては、チラシ作成契約をこれまでどおり維持することを条件にアプリ対応のチラシを納入し、集客増を狙う店舗とのWin-Winの関係を築いている。結果として、新規顧客の獲得も含めてチラシ印刷の受注拡大が実現されている。また、チラシ作成の効率化が進んだことで、従業員のモチベーション向上にも繋がっている。
渡辺功様、心からお祝い申し上げます。

2016年6月11日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(7)

 drupaの混乱… 昨年末、drupaは次回から3年開催としていたが、出品者の圧力により会期中に4年開催に戻ると主催者は発表し、次回は2020年6月23日(火)から7月3日(金)の11日間と再設定された。
 これは出品者側から出された強力な圧力によるもので、ゼロックスの会長は会期前の記者会見で3年開催を公然と非難していた。drupaの出展費は割高で、出品者は4年のサイクルで予算を組んでいるものを3年にされる苦痛に反旗を翻したことによる。主催者側としてはIPEXを潰すがための手を打ったつもりだが、世の中はなかなか思惑通りには動かないのだ。
 入場者数は26万人で前回より低下したが、その76%は188ヶ国からきた外国人であった。
 Landaは確かに、旋風を起こし、予約注文を取り出している。しかし、実際の実のある注文を取ったのはHPで新機種12000が中間発表で60台(年内にほとんどが納入)に達したとし、HPの全体としては、drupa2012より20%超えの4億ドルの受注が取れたとしている。
 HDはその幅広い商品群全部で、1000点の受注が取れ、Primefire106の引き合いもあったとしている。
 その一方、Landaは予約注文が取れたとしているが、ドイツ系メディアからは、実演機の刷り本にインキジェット特有のトラブル、筋ひきが見られ、しかも、見当が甘いと批判されている。また、実演後のその清掃ぶりが気になるとかの声も出ている。いずれにしろ、市場でお目見えするのは少し先の感じになろう。
 Frank Romano教授の言を借りると、デジタル印刷は5年ぐらいで半分の市場を押さえると持ち上げてくれている。大型機が市場に入りだ出すと、デジタル印刷の普及は進もうが、わが国では欧米より、既存勢力がしっかりしてくれていて、時間がかかるのではあるまいか。
 しかし、時代は変化してきている。我々はデジタル印刷への身構えが必要になってくるであろう。

2016年6月10日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(6)

 いよいよdrupa取材の最後の日になってきた。
 中小印刷業者の我々は次の時代を見据えて何をすべきであろうか。こちらで行き合った仲間達とも話を重ねてみた。
 デジタル化の技術進歩にはすさまじいものがあり、果たして、この技術を我々が追っかけ切れるものであろうか。技術を追っかけるのでなく、営業造成を如何に図るかを追っかける時代になってきた。そのためには、如何に新規客、リードを掘り起こすかに、注力すべきなのだ。クロスメディアを意識し、ITCをかじって自分のサイトを充実させ、呼び込みしやすい仕組みを構築することが肝要だろう。
 ITCは道具でこれだけで商売が呼び込めるものでもない。近隣の会合、催事に顔を出し、人との接点を増やしたいものだ。今まで我々は設備に投資しがちであったが、営業人脈投資こそが必要となってきつつある。
 ワンストップショッピングを目指すのが鉄則で、このためには、共創ネットワークではなく、自分の立ち居地から見た独自の固有ネットワーク作りに腐心する必要がある。この中にはネット通販の1社は加えておきたいものだ。自社でものづくりをするより、ネットワークを活用して手配作りをする方が、勝負できる時代になってきている。現有の手持ちの機械類はリノベーションをして性能アップを図ってゆく。新台を考えるなら小型デジタル印刷機であろう。
 固有のネットワーク作りには、ぜひ、日本WPAのような団体をうまく活用することだ。得意な物づくりに長けた会員が結構おられ、気が合った方と、ぜひ、相互交流を図っていただきたい。
 今や、バタフライロゴがキラーロゴとして受注獲得につながるケースは、薄くはなってきたが、幸い水なし印刷は他社が手がけていない、限定品であり、独自性を打ち出すよいツールとなってくれる。

引き続きdrupa2016(7)レポートへ飛びます。

2016年6月 7日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(5)

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中央の広場から見た広大な会場風景

デジタル化の流れの中にあるが、既存のアナログ印刷機の高度化、利便性向上を目指す、リノベーションの動きがdrupaで見られた。そのキープレーヤーに日本のメーカーが随所に関与してくれている。
 T&K TOKAはパウダーフリーインキ、「きれいなインキ」を欧州で発表したが、はや、一定の反響が起きていた。drupaの前にスペインのある印刷会社で導入テストをされ、その成果印刷物を会場に持ち込まれていた。棒積みにした印刷面を来場者に触ってもらい、パウダーのない手触り感を確かめてもらっていた。水なし印刷にはこのインキは特に有効で、インキの中の樹脂の改良の結果、高温耐性が付与され地汚れがおきにくくなる一方、艶も5ポイントほど向上してくれている。
 コスモテックは湿し水の活性化を図り、薄い水膜で水を絞った印刷ができる湿し水冷却循環装置Top-one CF502を欧州で初発表していた。京都のある印刷会社での年間のインキ代分析で15%の節約ができたことを前面に出していた。循環水を光触媒と磁性体の中をくぐらせ水の表面張力を切ってくれる斬新な機構のものである。
 LED-UVランプメーカーのAMS社はmulti-wave UV灯を発表していた。これにより既存のUVインキを少し手直ししてLED-UVランプで印刷できる道筋をつけようとしている。近年、電気代の高騰でUV印刷業者にとってその負担感を軽減したいニーズがあり、これに応えようとの姿勢である。今あるLED-UVインキは品種が少なく、特殊原反では実際上は使えない嫌いがあったが、この問題解決を図ろうとしている。
 プレステック社は水だけで現像できる水なしZahara版を欧米では一定量の販売をしている。この度、親会社AIP社の意向を受け、兄弟の関係にあるGOSS社とより深い関係を再構築し、新聞輪転機の改造施工(リノベーション)を通してZahara版を世界規模で拡販する施策を打ち出している。GOSS社の新聞輪転機の事業が縮小する中で、機械会社が既存機のリノベーション事業に手を染め、水なし版の販売につなげて新たな成長を図ろうとするものである。
 リノベーションは一定のキーワードになってきつつある。

引き続きdrupa2016(6)レポートへ飛びます。
 

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(4)

nanography print sample.jpgナノグラフィーでの展示た製品サンプル、斜め半分がオフセット印刷、残りがデジタル印刷でなされ再現性はデジタルの方が優れていることを示している。

 この4日間の会場での駆け歩きを通じて感じたことは、世の中のデジタル印刷需要は全印刷量のわずか、3%に過ぎないが、この会場での動きを見ると90%方がデジタルという感じに映る。その具体的な概要とは、
・デジタル印刷関連のサプライヤーがアナログ印刷関連のサプライヤーを上回る
 前回まで多数見られた小物材料・サービス(アナログ系)の出品者が激減
・B2、B1のデジタル印刷機がさらに新たに登場してきた
・そのインキも進化しプレコートなし、塗工紙にも使えるインキが登場
・5色、7色刷りで色域を広めパントンカラーで95%の再現ができるとする
・フォールディングカートン用・団ボール用のデジタル印刷機が登場
・デジタル印刷機のスピードはオフセット印刷機に近づいてきた
・表面上の印刷品質の差はデジタル印刷機とオフセット印刷機とではなくなりつつある
・印刷機のモニタリングとメンテサービスのためのクラウドベースのワークフローが登場
・形式と仕様の違う3D印刷機が多数登場
と言う具合である。
 主催者発表では最終的には、延べ26万人の入場者を見て、76%がドイツ以外の方々で、前回drupaの実績を下回ったとしている。ホテル日航の宿泊代のあの馬鹿高さは解消されていて、駐車スペースには空きがあり、感覚としてはも前回より少し静かな感じに映る。
 印刷製造業を目指す方々には、まさに、この姿が近未来の印刷界そのもので、デジタルサプライチェーンでつながったこの形をぜひ、目指すべきであろう。
では、中小印刷業者の我々はインキジェット・デジタル印刷に今真正面から取り組むべきであろうか。筆者は当面、我々はデジタルに取り組むにしてもこのインキジェット印刷機に飛びつくべきでなく、その完成度の見極めをしてからでも遅くない気がする。デジタルに取り組むには、機械完成度の高い、また、トナー代が下がりつつあるトナーデジタル印刷機を狙うべきであろう。デジタル機を本格的に活用するには1:1技法、バージョニング印刷物などこなせられるようにすべきであろう。
 その一方で手持ちのアナログ印刷機を高度化して使う手立てを打ち出すべきではないのか。

引き続きdrupa2016(5)レポートへ飛びます。

2016年6月 6日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(3)

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HPブースの朝礼風景

 このdrupaの注目の機種は、B1デジタル印刷機(あるいは、ハイブリッド印刷機)で、今まではデジタル枚葉印刷機はB2であったが、サイズアップされ産業用として登場してきた。先行していたLandaが開発に手間取っている間に、ごく短期間でハイデルベルグは富士フィルムと組んでPrimefire106を投入してきた。KBAはハイブリッド印刷機をゼロックスのヘッド技術と組んで発表している。参考出品であるがコニカミノルタもKM-Cを発表実演している。
 Landaは2012に発表した機種群構成を大きく変更し、枚葉機ではB1に絞ってしまっている。2012年時のプレゼンテーションで世界の印刷会社から400台の先行予約の予約金を徴収したことが話題ともなった。完璧を期すので2年後に製品化するとしていたものが、4年経っても製品化されず、疑問視の声が出る中で、今drupaでは倍のブースを構え、メタライジングの領域まで広げた機種まで発表し、本気度を訴求している。初日の発表でCimpress社とのS10Pの20台のオプションを得たこと、米国のQuad/Graphicsやスエーデンのパッケージ印刷の雄・Elandersとβテスト導入契約を結んだことを発表し、面目を保っている。この機械は他社製品とは違うスピード・独創性と将来性にこれらの会社が反応しているとのことだ。
 小森アメリカはTrade Printerの大手、4OverとImpremia NS40(ランダS10P)の導入契約を交わしたが、商談ベースでもランダ系は先を走っているように見える。
 ハイデルベルグのPrimefire106の開発の早さには、驚嘆の目を持って見られていて、馬車馬のようにこき使える機械との触れ込みで信頼性の高い機械であろうが、まずはパッケージング用途での限定品とのことである。KBAはゼロックスとでVariJETハイブリッド機(フォールディングカートン用途)を発表してくれている。
こんな中でHPはカドカワ株式会社とHPインディゴ50000デジタル印刷機、HP PageWide 輪転印刷機 T490M HDそれに伴うワークフロー、製本加工装置の契約を発表している。これは一種、既存のサプライチェーンの変革を意味するものだ。
 さらに、HPは写真ネット通販の雄・Schutterfrlyと25台のIndigo 12000の契約(25Mユーロ)を交わし、今秋に納入する。自動加工のできるホリゾンのSmart Stackerも同時に納入される。
Cimpressも20台のIndigo 12000を契約、やはり秋には納入される。これには既存の10000機を12000機にアップグレードする条件もついているようだ。
 HPはマスカスタマイゼーション(ギャンギングのネット通販業者)層に2日間で50台の機械を成約したと発表している。我々、中小印刷事業者には別世界に映る中で、デジタルのうねりが起きているのだ。

引き続きdrupa2016(4)レポートへ飛びます。

2016年6月 5日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(2)

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 drupaの規模、内容は確かに、他の国際展を断トツに抜きん出ている点が多々ある。よって、drupaは世界各地からの出品者、見学者を集めている。このdrupa2016で大きく変わったことは、最大出品者が地元ドイツのアナログ印刷機系のハイデルベルグ社(HD)から、米国のデジタル印刷機系のヒューレットパッカード社(HP)に入れ替わったことである。どの会社も展示会には見栄だけでなく、ROI(費用対効果)を考えて出品されている。
 HPの出展内容は17号館全館を占め、商業印刷、出版印刷、写真加工、ラベル、スリーブ、フォールディングカートン、フレキシブルパッケージングにわたり、56台の機械を並べて実演展示をする様子は圧巻である。主催者はこれがため、特設の排気ダクト装置を敷設したのだ。
 HD社は富士フィルムと共同開発したPrimefire106を初披露し、産業用デジタル印刷機への参入姿勢を見せ付ける一方、アナログ印刷機を高度化させ、Push to Stopなる概念のdriverless operationができる新機種群を発表した。これはハイデルベルグ流Indutry4.0なるもので、既存の印刷機の持てる性能は、現下では50%ほどのラインしか活かされていないところ、クラウドを噛ませた高度な自律性能を注入するにより、90数%に高められるとしている。このdriverless operationの機能はPrimefireにも注入しているのだ。
 展示会はやはり、開催国のお国の印刷事情が大きく反映されている。
 米国の印刷物で大きく占めるのはダイレクトメール、通販カタログ(これは近年、低調化してきた)で、DMの進展からPURL、マーケティングオートメーション(OA)が誕生してきたが、これらのマーケティングの旬の動きはこのdrupaでは限定的にしか見られない。
 ドイツ印刷メディア連盟(VDMA)の発表では2015年の出荷高は対前年比2%減の中でカタログ印刷は6%増、ラベル印刷は11%増としている。オフセット印刷の全体シェアは不変でグラビア印刷がシェアを落としているのだ。ドイツ製品は高級商材が多く、説得論調が効くカタログ需要は今もって健在なのだ。
 日本の印刷需要で大きな割合を占めるのがチラシである。1000台のオフ輪が健在という国は他にない。チラシがあったため、凸版印刷のシュフーなどが新ビジネスとして立ち上がり、最近ではアプリを活かした渡辺功氏(経産省「攻めのIT経営百選企業」の1社)のコラボレAR、セブンネット(株)のチラシプラスなどのアプリソフトが目に付くようになってきている。
 このdrupaでは、フラインドルファー研究所が主導する、Print4.0プロジェクトの創設の動きが出てきてやはり、物作りの伝統と先進性のドイツを感じさせるが、マーケティング面から見ると何か物足りなさを感じる。 
 欧州でもその存在感を高めているのが印刷ネット通販である。
 英国の例をとると、仲間間の印刷も、ネット通販印刷も今日ではTrade Printer(TP)と称している。英国でのTPの売り上げ規模15傑を列挙する。
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 この中には販促グッズで急成長を遂げている会社もある。最近彼らは力をつけてきて、印刷会社が印刷機の新設計画があるとかぎつつけると巧みにアプローチし、御社用にstore frontをカスタマイズし、仕事のやり取りの利便性を付与するので当方に仕事を出してくれと懇請する例が見当たる。
 また、欧州を中心とする国際視点で見るとその規模の巨大さが目に付く。Landaはdruap初日にCimpress社と条件付で20台のS10の契約がなされたといった発表したが、逆を返せば、このような新鋭機を買える先はネット通販会社になってきているのだ。
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引き続きdrupa2016(3)レポートへ飛びます。

2016年6月 4日

中小印刷業者の目から見たdrupa2016(1)

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 思い出せば、52年前の1962年、大学を出て入社間もないときに、叔父・宮城荘三郎氏のかばん持ちとしてdrupaに来て以来、連続13回目のdrupa訪問となる。前半部は機械屋商売としてのdrupa詰めであったが、後半は中小印刷会社とのかかわりの中でdrupaを訪問させていただいた。 drupa1986では時の中曽根内閣の貿易黒字の解消施策の一環で、輸入促進ミッション団のコーディネーターとして参加させていただいた。
 今年のdrupaは天候異変に見舞われてしまった。この時期のデュッセルドルフは天候が安定しているのが通常であるが、先週は豪雨に見舞われ、地元の方も驚いている。今drupaで何か異変が起きる予兆であるのかもしれない。
 以下は、drupaの開催暦概略、その時々のネーミング、トピック、筆者の出席印を記した一覧である。

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 drupaは戦後間もない1951年にハイデルベルグのSternberg社長とErhalt経済大臣とが話する中で印刷界の復興はこまめな開催の展示会でなく、オリンピックを模したビッグイベントにしようとの発案で始まった。メーカー側の思惑とユーザー側のニーズが合致し、世界でもまれに見る産業展に育ったのだ。メッカの巡礼ではないが、今日では印刷人なら一度は訪問したいとの常識を作り上げている。
 最盛期にはほぼ、デュッセルドルフ市人口に近い60万人弱の来場者を見た。一人平均、7万円をデュッセルドルフで使ったとすると、420億円が地元に転がり落ち、他方、最盛期のハイデルベルグ社はdrupa1990で1500億円もの受注を獲得したのだ。
 規模的にはIGASの倍の会場面積で今回でも11日間開催で30万人の集客があるとする。
 印刷界に入り、振り返って見ると、大変よい業界で仕事をさせていただいていることを恩義に感じている。母校の千葉大画像系学科が百周年を迎えるに当たり、記念事業としてイメージング教育ラボの設立の寄付を関係方面にお願いすることになった。多くの印刷会社、関連業界、団体からほぼ予定額に近い寄付を仰ぐことができ、当事者の一人として感謝に耐えない。ここで分かったが、100年経て印刷事業者は立派に事業継続がなされているものの、写真系事業者はデジタル化の波に飲まれ、影が薄くなってしまっている。印刷系事業者は中小企業にかかわらず、しっかりとした足取りで事業に取り組まれていくことを何とか後押ししてみたい。
 そこでこのdrupa2016では私が関与してきた中小印刷業者の視点から眺めさせていただく。

引き続きdrupa2016(2)レポートへ飛びます。

2016年6月 3日

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