日本WPA : Japan Waterless Printing Association

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日本WPAの活動  - 2014年3月 -

Ipex2014報告(4)

米国の調査会社、InfoTrendsが1月に発表した内容では、2012年から2017年の間で印刷総需要は年間平均1.2%の伸びと見立てている。ところがデジタル書籍印刷はこの5年間で40.48%の総ページ量で増えると見ている。デジタル印刷化することで儲かるようになり、この流れがこれから現在化するとしているのだ。書籍印刷に続き、イレクトメール、雑誌、カタログ、およびパンフレットなどの分野は、また、デジタル生産で非常に高い利益増加を記録すると見ている。
InfoTrendsのB.ペロウ女史は2014年こそ、印刷会社は真剣にデジタル印刷に取り組みべき年と煽るではないか。
IPEX2014のセミナーのどの講師連は、判で押したように従来印刷では日用品化してしまい、利を得にくくなっているとする。よって、印刷を基点としたクロスメディア化を図り、新しい価値をつけて行くべきだと言う。概念論としては分かるが、具体的にどのように新しい価値を見出してゆくのか、これは各印刷会社の置かれた立場で違ってくるのではあるまいか。
展示会場で目に付いた注目される新製品につき触れたい。
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オーストラリアから唯一の機械メーカー、Rapid社がRapid XL220なるmemjetを搭載したワンパスのデジタルラベル印刷機を展示した。pdfデーターを入れるとラベルがすぐさま出て来る、と言うのが売り。抜き型はフレキシブルダイを使用する。価格が10万豪ドルを切るというから手ごろである。Roll to rollでの高速プロッターカッター(2ヘッド)で抜きを行うEcripseが横に展示されていたが、この売価は23,000ポンドと言うから、印刷会社が手軽にデジタル・ラベル印刷をこなせる時代になってきたのではないか。
セミナー講師のPeter Lunchaster氏が考案したARソフト、Documobiはなかなかの優れものである。あらゆる印刷物を登録してARマーカー化できるのがミソ。個人がこのクラウド登録することで地図情報との組み合わせで、シーンに応じたタイムリーな特典をゲットできるのも喜ばせてくれる。完全に1:1の案内ができる仕組みを構築していた。彼はサイテックス社出身で印刷を基点としたAR活用事例を豊富に作り上げていた。
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Talking Printなるディスプレイ内蔵のブックケース状販促物に人気が集まった。わずか4名の会社のベンチャーであるが、どうも中国辺りでデイスプレー・製本加工までさせコストダウンを図っているのがミソである。メロディカードが一時、日本でもはやったが、これの視覚版と言うところか。
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一つの出し物としてmakeready challengeブースをBurnettと言う機械保険会社がスポンサーとなり、中古機屋、印刷部品メーカー、ローラー屋を糾合してSM52-5中古機での迅速立ち上げ時間競争のコンテストをしていた。スペインの印刷学校の先生と生徒がチャレンジしていたが、先生は6分ちょっと、生徒は20秒遅れの6分20秒台で印刷を開始してくれた。24名の応募者がいたが、最終的には英国のTony Dowdが4分53秒と言うタイムでチャンピオンに決ったが、上位入賞者には賞金がもらえると言う。

2014年3月31日

Ipex2014報告(3)

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紙印刷で売上増を必死に図った前述のスミス氏は、これは無理な時代に来たと悟ったのかニッチ市場の発掘を目指されたが、これは立派な生き方である。紙印刷の現状を捉え欧州印刷人はどのように生き道を考えているのか。その答えの一つがクロスメディアでの収益増である。以下紹介するLCCのMonarch航空はスキー客向け飛行機便のキャンペーンを打ちたいが、予算がない。そんな中でWDMPのGavin WheelerはARをからめた独創的なキャンペーンを提案し、Monarchに採用された。何と結果は、キャンペーン投下費用の18倍の売上を上げることができ、しかも、しっかりした顧客データーベースの構築を図ることができたのだ。このキャンペーン企画はDMAの2013 Grand Prix Winnerに輝いた案件となり、大変注目された企画である。
わが国でもARは大流行で印刷人も数多くこれを手がけている。しかし、このAR機能を生かし、クロスメディア(ダイレクトメールとAR)に持ち込んで集客、売上の実績を上げた事例はまだ、あまり見受けない。この独創性は大変参考になる。これこそ商業印刷の近未来形と言えまいか。
折りたたみのDMを開けるとMonarch山が現れる。これにスマホをかざすとARが働き、スキーの楽しめる仮想のMonarch山の没入型体験が味わえる。マウスパッド操作で山のあちこちへ移動できるのだ。山の要所には標識タグがあるが これをクリックするとスキー場名、そのフライト便とフライト代が表示される。
狙い先は冒険心旺盛な若者で彼らは雪質とスリルを味わえるスキー場を求めている。一般的なファミリー層スキーヤーを対象としていない。
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このDMの送り先は第3者データーとMonarchのデーターであるが、応答データーはMonarchデーターに蓄積されてゆく。
このクロスメディア・キャンペーンは大変な反響を呼び、キャンペーン投下費用の18倍に当たる220万ポンド(3.85億円)の売上につながってくれた。また、DM受領者の21.7%がMonarchサイトを閲覧してくれている。
なお、英国のオリンピックスキーヤー・Chemmy Alcottを登場させ、彼のヘッドホンカメラで撮影した冒険型滑降シーンは視聴者に魅せるものであった。
単なるDMだけでは売上に結ぶつかないが、ARをかまし、ターゲットを絞りポイントをついたキャンペーンを張るとまだまだ、我々、印刷人の商機はあるのではなかろうか。
航空会社を相手にするのでなく、ちょっとした商売屋の顧客呼び込みにこのようなクロスメディアで仕掛けるチャンスはまだまだあるのではなかろうか。

Ipex2014報告(2)

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:ピーター・ハンザー・シュトレッカー氏とクリス・スミス氏 
このIpex2014の圧巻は質の高い無料セミナーの豊富さである。まじめに会期中のセミナーを全部聞きたがったが、時間余裕がなく、切り上げての帰国で散漫になったのが残念だった。受講したセミナーを紹介させていただく。
Halstan Printing GroupのCEO クリス・スミス氏が自らの経営体験談をMasterclasses・第1セミナー室で講演してくれた。氏は63歳、過年度のロンドンマラソンの市民ランナーとして出場された屈強な体力をお持ちの方である。100年続いた印刷会社を率い、出版関係の仕事をこなす。主たる仕事は、楽譜印刷、定期刊行物、科学書籍などであるが、その話しは英国魂そのもの生き方である。
2003年、Ideal Printers社を買収、規模拡大を目指す。買収先の設備の古さに手を打ち、CD102-4とBravoPlus with Armys(糸かがりライン)をすぐさま導入する。2007年にはOceのVarioPrintも入れたが、思いの他、儲かるようにはなってくれない。たまたま、縁があって出版社まで買収する。そこでよく分かったことは、出版事業は在庫に苦しまれ、在庫を如何に減らすかが商売のやり方と気づく。これにはオンディマンドのやり方しかないか・・・そんな中で、中堅印刷会社の雄、Pindar社の経営が行き詰まってきて、部門を分離しての売り出が出る。スミス氏はAylesburyにあるPindar社地図作成部門16名(webデザイン・web制作・クロスメディア制作、eコマース・eマーケティング、eブック、データーベース管理)だけを買収する。買収の理由は単純で、自分でもここに仕事を流していてある種の固定客があったのが理由とされていた。買収後、幸運にも恵まれ、ロンドンオリンピックでは地図制作の特需が飛び込んでくれた。
以前から音楽関係の仕事をしていたが、音入れのため曲需要があることに気がつく。これを楽譜出版と言う形で事業にしたところニッチの商売になるではないか。しかし、オンディマンドで即印刷する仕組みを作り上げねばならない。このとき、買収したPindarのプリプレス部門が戦力となってくれた。糸かがりの広開本のオンディマンド生産をしてみる、これはいける事業ではないか。英国ではこれで商売になってくれた。
そこでスミス氏は以前からのドイツの盟友・ドイツ最大音楽出版社、ピーター・ハンザー・シュトレッカー氏と提携し、今年の3月にマインツにHalstan Deutschlandを設立する。音入れ用の楽譜を知らしめるのにオンディマンド出版が最良事業と見抜いてのことだ。ドイツのこの市場規模は欧州広域にまたがっていて英国の比ではない。スミス氏が回想するに生き残りのために氏は企業買収を次々と打ったが、その結果、価値あるニッチ市場をついに発掘することができたとしている。
今後は買収した会社間の人材の交流を図り、さらなる新しい価値発掘、育成に努めたいとされていた。
日本ではお目にかかれないタイプのまさに、英国魂を持つ印刷人経営者であった。

2014年3月30日

IPEX2014報告(1)

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この展示会にここ6回、足を運んだ筆者にとって、一見、なんとも寂しい思いのする展示会ではある。アナログ・デジタル両分野の主要なる印刷機械メーカーが出品しない中、前回の1/3規模なる大幅縮小を強いられた展示会になってしまった。来場者も相当に減ってしまっていると見受ける。ところが印刷人としてこれを見て、この不透明な時代での自らの進路と生き道をみつけてくれたものとなってくれる価値ある展示会と見直している。drupaより100年も古い163年の歴史をもつIPEXはここで起死回生の知恵を絞り、印刷人にとっては大変見ごたえ、聞き応えのするイベントに仕上げてくれたのだ。
この展示会ではハイデルベルグ、KBA、ローランド、リョービMHI(代理店は出品)が出品中止をし、デジタル機械勢のHP、ゼロックス(代理店は出品)、キャノン、リコーは軒並み出品しなかったのだ。しかし、World Printing Summitなる経営者向けセミナー、Master Classesなる実務者向けセミナー、Future Innovationなる印刷の未来を掲示する特設展示、burnnettsなる関連業者数社の協賛のもとでの小型中古5色機を使ってのMakeready Challenge実演、小森の協賛の下での小森の菊全5色機+コーターによるオンディマンド実演でのグリーン化を訴求した「Ecozone」、先進的な印刷受注の具体的な成功例を掲示したInspiration Avenueはすばらしい内容のものである。丹念に見て聞いていると全期間の時間が必要となる。併設のCross Media Productionは1日遅れで開催されたが、特設セミナー3会場が用意されているものであった。これらは販促、出版、パッケージ・POPを課題にクロスメディアの実技セミナーを分けて講習してくれている。今の旬の実務家講師を引っ張り出してのセミナーは大変聞き応えのするものである。
日本ではPage展が27年の歴史を経て大変、充実した内容のイベントに定着してきているが、ある意味で方向性が限りなく近いイベントにIPEXは変質・進化してくれたのだ。IPEXの良いことに入場者は事前申込みをすれば、展示会入場、全セミナーの受講が無料になっていることだ。それに登場してくれた講師連は経営者、実務家達で今の時代で体験した旬の話を惜しげもなく話をしてくれるのはわが国ではみることのできないお土産となってくれた。
昨年半ばに、IPEX運営に危機感を持ったInforma社のEvent Director、Trevor Crawfordは、IPEX会長に何と、斬新的な生き方をしている出版印刷・メディア企業のSt.IvesのCEO・Patrick Martellを引っ張り出したのだ。彼は自らの企業体をリストラして新メディア企業に作り変えた男で正に旬の方であるが、さっそく、360委員会なるIPEX実行企画の委員会を組織し、ブランドオーナー、クロスメディア企業、出版、印刷のこれと思う方々に委員を就任してもらい、来場してくれる印刷人を喜ばせ、元気付かせる内容のイベントに仕立てると、打ち出したのだ。印刷の展示会の運営に出版社の親玉が登場する、危機感の裏返しでもあろうが、我々には着想できないことである。
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コマ数が減ったので会場の奥は開きスペースとなってしまった。

IPEXの変調事象はまさに、先進国の印刷界の状況を象徴するものである。drupa2012に期待をかけ大枚をはたいて出品した主要の出品者たちは、期待値に届かない結果を危惧し、かつ、自らの業績も考え、従来の形の展示会出品を修正せざるを得ない状況に追い込まれてきた。少し前までは世界の印刷機の年間出荷高は9000億円位あったが、この時点では半分の規模になってしまったのだ。この事態が重くのしかかり、結果として著名印刷機メーカーの倒産現象も起きてきたのだ。また、印刷機械メーカーの連衡合併が今、起きてきているのだ。出品者側の経費の節減は避けられなくなり、これがPRINT、IPEXにも余波が波及してきているのだ。当然、来年度のIGASにも同じ事象が現れてこよう。
IPEXは英国を基盤とした歴史のある展示会で、時の最適の方々が登場し、印刷国際展の作りかえをしてくれていると筆者は評価する。英国の出版界とて今は大変な時期ではあるが、何と言っても英語人口は日本語人口の比ではなく、その懐が深いのだ。ゆえに、その復元力の力強さを感じさせられた。クロスメディアは印刷界の方向性であるのは確かだが、print centric(印刷が基点)と信じ、行動し、成功実績を着実に作り上げてくれているのに感心させられた。

2014年3月26日

配布方法を変えてCO2排出量・大幅削減を図ったフリーマガジン

地方都市のA印刷会社はこの地域では22年前から発行・配布しているフリーマガジンの元祖的存在である。月刊生活情報誌はこの都市圏一円、30万戸に毎月宅配で全家庭に宅配していた。この媒体力が評価され、この地域では名門的存在の生活情報誌として見られていた。
月日が経つとともに、この成功に続けと競合誌が出現し、広告料金は上げられない事態になってきた。用紙代、印刷諸資材が上がる傾向の中で、東日本大震災後は、広告の抑制が働いてきている。他方、消費者からは紙のごみ視とする傾向が近年高まってきている。
何とか、必要とする方々が必要なところで手に入れる方法に切り替えられないか、模索する中でラック置き本での配布に切り替えてみる決断を下される。
配布方式を切り替えるには、広告出稿単価の見直しも必要であった。また、ラックの設置場所でも工夫を要した。
ラック置き本型に変えた結果、驚くことに採算性は向上してくれた。30万冊から5万冊への部数減で原価が下がったこと、さらに宅配料が全く不要になってくれたからである。
無論、配布部数の差で広告効果の低下を危惧する趣もあるが、店置きのお店の選択如何で媒体力の差が出ることが分かり、危惧したほどの効果低下は今のところ露見されていない。
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特筆すべきことは宅配30万部とラック5万部配布との環境に対する負荷に大きな差が出ていることだ。ラック5万部配布としたことで年間2112トンのCFP(カーボンフットプリント)量を削減することができた。何とこの量はこの都市の中核圏(旧市街)10ヘクタールの土地に杉林を植林したのと同じCFP量の削減効果をもたらしたではないか。
昨年、9月23日に発表された、IPCC第5次評価報告書では/祐岾萋阿20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い(可能性95%以上)、大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加しているとしている。
A社が取り組んだ配布方式の変更による大幅なCO2削減には大変意義深いものがある。

2014年3月19日

ぜひ、チャレンジしてください。4点のお知らせです。

【その1】
平成26年度第13回印刷産業環境優良工場表彰の募集が行われています。
過去、12回の表彰のうち、日本WPA会員はご努力をいただき、最高位の通産大臣賞を12回の内、7回を獲得する実績を上げています。

応募要領(パンフレット)と第1次審査用応募票を添付しました。
正会員様、ご応募いただけると幸いです。
なお、応募票は所属団体ごとに異なっています。
各所属団体の上位団体名にてご応募いただくことになります。
(例)東京都印刷工業組合所属→「全日本印刷工業組合連合会用応募票」

応募票および、詳細な実施要領等につきましては、
下記ホームページをご覧下さい。
http://www.jfpi.or.jp/environment/commendation/index.html

※過去に環境表彰で受賞した工場は、第1次審査免除となります。
該当する全工場に対しまして、第2次審査応募方法等について、
日本印刷産業連合会から後日あらためてご連絡させていたします。
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【その2】
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2014NEW環境展は東京ビッグサイトで5月27日〜30日にかけて開催されます。
日本WPAは産業環境管理協会様と連携して出品いたします。
会員企業様の共同出展を募集しています。この出品費用は協会負担で無料で
すので、ぜひ、この場をご利用ください。申し込み締め切りは4月15日とさせて
いただきます。
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【その3】
胆管がんに端を発した印刷界の悪イメージの払拭を目指し、印刷工場でのVOC
の計測事業を新調した計測器で行います。正会員様には無償で利用できます
ので、ぜひ、このサービスをご利用下さい。
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【その4】
3月4日(火) 東京国際フォーラムにて「カーボンマーケットEXPO2014」が開催され
ます。(入場料は無料)
「進化するカーボンオフセット!地球温暖化防止 X 地域貢献ビジネスの新しいか
たち」なる内容で、我々にとって新しい環境にまつわる商売につなげられる内容か
と存じます。
その案内カタログ https://db.tt/FuOi70q1 をぜひ、ご覧ください。

2014年3月 1日

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