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日本WPAの活動 - 展示会 -

日本WPA公認drupa視察団がドイツの水なし印刷会社を見学

2008年6月 7日

6月5日(木)、日本WPAのdrupa公式視察団一行はデュッセルドルフ市から、マイクロバスに乗り込みヘッセン州のKarben市のFüse Verlag GmbH(フューゼ出版社)とグリム童話の里、Hanau市のHarmut Kitz印刷会社を訪問した。快晴に恵まれ、温度も28度にもなり、ドイツにしては暑い1日であった。
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商品説明をしてくれるヒューゼ社長
フューゼ出版社と言う名前から、出版物をこなしていると思ったが、ユニークなマーケティング指向の業態の印刷会社であった。園芸卸商を対象にした「園芸商品(園芸プラカード)」、園芸品のワンタッチ結束テープ、園芸家向けカレンダーを自家工場で制作し、ドイツ国内の園芸卸業者に営業マンが2名、アシスタントが2名で直に売り込んでいるのだ。一端、顧客と当たりがつくと、仕事のやり取りはe-mail、FAXですむと言う。1955年に先代が創業し、先代の趣味が高じて園芸特化商品の印刷会社を作り上げたが、コンピューター技術家の2代目が1992年から、先代の死後に事業を継承した。市場はドイツ国内一円、デンマークの一部で、競争相手はオランダの大きなラベル印刷業者がいる。しかし、フューゼ出版社は納期、品質で彼らと差別化を図っている。2年半前にKBAのキーレスUV水なし印刷機74G-4L、引き続き、2年前にCTPを導入し生産力を高めたことが貢献している。
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紙粉取りをしてくれるDoyle吸着装置をフィーダーに装備
我々のために、刷り出しから見せてくれたが、30枚目で色が決まり刷り出す様子を見て、見学者は一斉に驚嘆した。水なし印刷、アニロックスロール、版胴と同径の着けローラ、ローラ本数の少ないショートトレインのインキ装置のお陰で、色決めがいたって早い。それにも増し、この方式でFM印刷ができる点がすぐれものである。なぜ、このような印刷械が日本で生まれないのであろうか。これなら、デジタル印刷機に十分対抗できるであろう。園芸品は春先需要が繁忙期で、園芸用品は冬場に作り込みをする。はやりの品種が出ると、急にこの需要が園芸卸商から舞い込み、徹夜3交代で印刷現場はこなす。

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公式視察団一行が、驚異のマシン、水なしアニロックス・キーレスインキングを抱いた74G機の前で記念撮影

夏は閑散期となるが、園芸家に好まれる園芸草花カレンダーを作り込む。また、卸商用の園芸カタログ(中綴じ)なども作たりする。この店名刷り込みは何と、活版方式のプラテン機で行い、プラカードの打抜きはハイデルベルグ・シリンダー機で抜いている。実にいたるところで細かい現場の工夫を凝らしている。
紙用品の場合、手間はかかるが油性インキに切り替えて印刷していた。UVインキでは艶がなく、UVニスを引く方法もあろうが、これではコスト高になるからだ。ドイツでもコストはシビアに運用せざるを得ない。74Gを入れた当初、キーレスインキ方式に適合した水なしUVインキがなく、この開発に苦労をした。大きいインキメーカーは同社の言うような量では話に乗ってくれず、結局、ハンブルグのインキ会社、Jaeneche+Schoenemannが耐光性、印刷適性にも優れたものを作ってくれた。自社内で一貫生産をしているので迅速消化(quick turn-around)を整え、品質管理が行き届くのはうなずける。名入れのプラスチックの結束テープは幅狭フレキソ輪転機で印刷をしていた。従業員数は50名で年商、380万ユーロ。この近辺では、通常の印刷会社は、EU統合の波をもろにかぶり、新興国とは競争できなくなって倒産に追い込まれたところも多いが、同社は特徴ある生き方のお陰で生き抜いてきている。たまたま導入した機械が、水なしであったため、水なしとの縁ができたが、これからは環境印刷製品の開発がカギとなるとしていた。デジタル印刷機を一時考えたが、そのクリック・チャージの水準では、同社の採算に見合わないとしていた。まさに、水なし・キーレスインキングシステムの水なし印刷機が、デジタル印刷機の領域までカバーしてくれこの事業を支えている。
食後、Hermut Kitz社を訪ねた。Hanau市のこの一帯は、工業団地で、団地の中にも印刷会社があったが、かわいそうに倒産したという。やはり、EC統合の波をかぶったものと言いきっていた。72歳の初代社長は、そんな荒波の中でも巧みな経営努力で今日まで来た。驚いたことに、1982年のdrupa出品のローランドパルバ4色機(空冷冷風装置をつけて、水なし印刷をこなす方式)をまだ、現役できれいに使っていた。風冷用フィルター、ローデルローラーをうまく使いこなしていた。パルバ2色機も水なしで運用している。CTPは4年間に始め、今では100%CTP化へ移行している。
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25年前の印刷機に空冷装置を付けて水なし印刷をしている。
驚いたことに、ハイデルGTOZ機も水なしで運用していた。置き版は大きい紙封筒に格納して吊るした状態で保管している。水あり版と違い、水なし版は置き版適性がいいとしていた。裏ワザとしては、機械の操作明示の名版をフォイルシールに耐油性インキで水なしで刷っていた。このような仕事は水ありではできない。紙印刷では余り儲からないが、このような特殊な仕事が入ると、加工高は上がってくれる。ホンダとか、グリム童話記念劇場の仕事などをこなしていた。生き抜くためには、細かな工夫の積み重ねが必要、さもないと安い東欧勢にやられてしまうとしていた。従業員数は20名で年商300万ユーロをこなしていた。
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水なし版の置き版適性を引き出し、上手な使い回しをしていた。

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