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日本WPAの活動 - その他の活動 -

「水なし印刷」に取り組む中国(珠江デルタ地区)の先進印刷企業訪問記

2007年7月11日

中国が世界の工場と呼ばれて久しく、同時に世界一の人口を抱える中国は、一大印刷物消費国でもある。

今回、世界で一番、印刷産業の発展を遂げている注目地、珠江デルタ地域を日本WPA田畠会長、奥副会長、小川理事は6月24日から27日まで水なし印刷での連携を模索しつつ訪問した。

訪問先はそれぞれ特徴ある印刷会社で「世界市場に向かって突き進む印刷会社」と、「世界市場と国内市場の両方を手掛ける出版印刷会社」、世界一のビール消費需要に相応した「国内需要向けビールラベル専門印刷会社」であった。


世界一の平台(枚葉印刷)を保有する印刷会社:LEOペーパー社
創業25年で世界一

中国 4000年の食文化を支える広州市から、整備された高速道路網を縫って、車で2時間の鶴山市の郊外に、菊全多色機(4色?両面8色機まで)を総計85台(製版から製本までの全ての機械は、総計6000台とのこと)が、24時間稼働するLEOペーパー社の印刷工場がある。珠江上流の西江と呼ばれる川沿いの畑作地帯に忽然と姿を現す7?8階建てのビル群が、LEOペーパー社の印刷工場である。

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真中が総帥(役員)元大日本印刷香港の出身者

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LEOペーパー工場はまるで新しくできた一つの印刷町である.町の模型図

LEOペーパー社は、創業25年(1982年創業)であり、日本の印刷会社から見ればまだまだ若い会社。香港を拠点にして創業し、たった一台の手上げ袋の加工機を導入したのが、1982年、その10年後の92年には本格的な商業、書籍、紙器印刷に乗り出し、印刷技術の向上に磨きをかけ、2002年には米国に販売拠点を設けて急成長路線に乗った。

現在は、中国本土、鶴山市の印刷工場、香港の本社を含め、世界7拠点で販売活動を行っている。この鶴山市の工場も手狭になり、中国本土の他地域での工場建設を計画中であり、総数5工場を目標にしている。

印刷物は、毎日90コンテナを欧米向けに出荷
印刷物は、全て欧州、米国向けで中国向けは全くなく、日本向けも滅多にない。日本向け印刷物のない理由は、要求品質が以上に厳しいことと日本語環境が難しいことである。一日の生産は、平均で90コンテナ分、最盛期に140コンテナを出荷するという。
    
この生産量を支えるのは、安価で豊富な労働力とその労働力を最大限に引き出す労働環境、生活環境の整備と充実した人事制度や教育制度である。敷地内に、24時間営業の銀行、郵便局、娯楽施設、スポーツ施設を備える一大アパート群を建設し、27000人を敷地内に住まわせている。社員の不満を解消するために、最高責任者の総裁が、ウイークディはこのアパートで共に生活することもあるとのこと。平台の印刷工場は、温度・湿度管理は行き届いており、オペレーターの動きは極めて活発である。

我々を案内してくれた総裁が現場に現れても、目礼する程度で仕事の手を休めることはない。また、要所要所には、生産高に関する各チーム別の日々のデーターが張り出してあり、従業員の向上心を刺激しつつ、生産高の向上、効率の向上に務める手法は、世界共通である。教育ルームには、各印刷機メーカー別に、印刷機の動く模型がおいてあり、この模型を使って印刷技術の基礎を学ぶ工夫がされているのには驚いた。

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ローラ・胴周りの駆動モジュール、これで印刷時の原理がつかめる

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第6工場24台の枚葉機と製本部門があったが、この生産管理部門(約20人)ですべての工場の生産を管理(能率は高い)

一人当たりの労働効率の驚異的な高さ
LEOペーパーには、このように驚かされることがこのように多数あったが、その極めつけは、これらの大量の印刷物を扱う営業マンは、世界で40人しかいないこと、またこれらの全ての印刷物の工程管理を、殆どが女性であり20人足らずでこなしている点にある。日本の印刷業にとって一種の脅威であり、驚異である。好むと好まざると、中国の印刷業界とどのように折り合いをつけていくかが、日本の印刷業界の課題であることは間違いない。

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印刷機の人員配置組織図

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個別機の生産実績表、OEE実績を表示


水なし印刷への取り組み
LEOペ?パーの企業理念には、品質や倫理観の向上、社会への貢献と同列で「環境保護」が唱われている。これらの企業理念が対外向けの見せかけではないことは、欧米の有力出版社がこぞってLEOペーパーに印刷物を発注していることからも窺えるが、「環境保護」にも必要な投資を惜しまず、廃液等は完全に自社で最終処理を実施している点にも現れている。「水なし印刷」は、輸入水なしインキ(日本製)の価格高にも拘わらず、環境保全の意識から採用を開始しており、ここ数年、新規ないしは更新する印刷機(年間5?10台程度)は全て「水なし印刷」が可能な仕様となっている。水なし化にも大きな関心を寄せており、中国での水なし化の先駆者となる意気込みが示され、日本WPAと具体的に実のある連携をすることを約束してくれた。

CTPシステムの先駆者:金杯印刷
先進技術の収得に邁進

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出版物が得意の金杯印刷

広州市から日本の鉄道技術で建設された高速列車で一時間の距離(今回は車で移動したが)にある東莞市に、日本を含むアジア地域で最初にサーマルCTP版を実用化した会社があり、それが今回訪問した金杯印刷である。
1995年のDRUPAで展示されたCREO社のサーマルでセッターを、同年に購入しCTPでの印刷を開始した。93年には、FM印刷を手掛け、ハイファイ6色印刷を、売り物にしていた金杯印刷にとっては、次世代の印刷システムであるCTPを導入することに全く躊躇なかった。
水なし印刷も、1990年頃に香港工場でテストをしたくらいの未来志向の会社である。

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FMスクリンにはわれわれより早くから取り組んでいた。驚いたのは95年に発表されたCTPをいち早く導入していたのだ。我々より数年早い設備投資の実態をみた。

英語辞書印刷で差別化
1971年に創業し、紙器印刷から書籍印刷までの印刷物を手広く印刷し、20台(120胴)以上の印刷機と1000名の従業員、3工場を有する中国の中堅印刷会社である。
金杯印刷は、海外向けと国内向けの兼業印刷会社であり、海外向けには、英国のOXFORD大学や、LONGMANの辞書や出版物を中心に海外向けの教育関係の印刷物が主たる品目である。33gベースの辞書用紙を両面機で、しかもフルカラーで印刷する技術は、金杯印刷ならではの技術に対するこだわりが感じられる。

英国と米国に販売拠点を持ち、更なる飛躍を目指して創業者の息子さんである2代目の若社長(33歳)が、工場敷地に寝泊まりしつつ、香港本社と東莞工場を日夜往復する行動力に感心することしきりであった。

水なし印刷は20年前にテスト
「水なし印刷」は、20年前にテストしたがシステムが未完成で断念したが、昨年より、これからの印刷会社には必須の技術として取り組んでいる。両面印刷機が主力であることから、見当精度の向上が図れることが目先のメリットであるが、「環境問題」が印刷会社として避けて通れない道であるとして「全台の水なし化」を目標としている。  

創業者は、香港印刷組合の理事長でもあり、珠江デルタ地区の印刷関連団体の種々の役職を兼ね、業界発展のために活動中である。東莞市と隣の深セン市を含む江デルタ地区は、印刷産業の世界的なハブになろうとしている。印刷関連団体の活動には、環境問題の含まれていることを、香港政庁の環境関連の役人が「水なし印刷」を見学に来たことを例に出して説明をしてくれた。当然、WPAの活動への理解も深く、JWPAとの連携も視野に入れて今後も交流していくことになっている。

世界一のビール消費国をFM6印刷で支える:萬昌印刷
600社のビール会社がしのぎを削る国

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広東萬昌印刷はラベル印刷がが得意

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日本WPA一行の熱烈歓迎看板

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同社では工場幹部と意見交換の会議をもった。

工場中国が世界一のビール消費国になって3年以上が経っている。何せ、人口が多いのが最大の理由。一昔前は、火の出るような老酒や白酒が最も好まれる庶民の酒であったが、非経済的なビール(アルコール度数換算では最も高価なアルコール飲料)を飲むようになったのは、中国の生活、所得水準の向上が一役買っている。但し、ビールは体を冷やす飲み物との認識があり、冷やさずに飲むのが正調中国風。

中国には、600社以上のビール会社があり、有名な青島ビールはその一社でしかない。ビール会社は、600社の競争を勝ち抜くために、中身の勝負よりは、見かけ、見栄えの勝負に拘っている。中国には、缶ビールは存在せず、全て瓶で製造しており、瓶の形やラベルに相当なこだわりがあり、ラベルは半年に一度デザインを一新する(当然中身は変わらない)。

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工場内の約10台の枚葉機にはロールシーターが敷設されている

ラベルの年間印刷枚数:130,000,000枚
これらの、ビ?ルラベルを専門に印刷している会社が、広州市から車で一時間の距離にある萬昌印刷である。創業は1987年でまだ、20才の会社で総経理(社長)も、30代後半の若手、工場は、2ヶ所にあるが合計18台の6色?7色の菊全機を所有し、生産性の劣るラベル印刷機は一切使用していない。グラビヤ、フレキソ印刷も手掛け、従業員は1100人、ラベルの印刷枚数は、1億3千万枚で、ビールラベル印刷でのシェアは中国一とのこと。原反の用紙はロールで購入し、自社で印刷寸法にカットし枚葉印刷を行っている。

FM6の導入で生産性が20%アップ
ビール業界における過当競争は、ラベル印刷業社間でも過当競争になっており、生産性の向上は至上命題である。昨年度は、20%の生産性向上を達成したとのことで、その決め手は、日本の業界でもあまり手掛けていないFM6の導入によるとの説明を受けた。ラベルは殆どが特色印刷であり、ロット毎に色変えをなくてはならないが、FM6であれば色替えの必要がない、しかも付け合わせ印刷ができる。

更に驚いたことに、印刷用紙は、幅1020mmを使用し、両端の印刷余白は1?2mm、菊全印刷機の横幅は1030mmであり、1020mmの用紙なら理論上は印刷可能であるが、誰もそんな冒険はしない。菊全機は、菊全用紙幅である939mmの用紙を使うのが常識。FM6の積極的な導入と最大の印刷面積を稼ぐ常識はずれの用紙幅の使用、一種のバイタリティーとも言うべき物である。

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このすり本はすべてラベルである。

水なし印刷はFM6で再挑戦
「水なし印刷」は、水なし用インキの特色の手当がつかず、一次中止に追い込まれたが、FM6の導入により特色問題が解消されれば、再度挑戦するとのこと。日本のビール会社のラベルも印刷しており、日本に親近感を持っており、何らかの形で日本の印刷会社との交流を期待しているとのこと。まだ、若々しい会社のエネルギーとチャレンジ精神は、大いに参考になった。

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