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世界初のローランドUV10色反転印刷機でVOC値を計測

2007年6月28日

清水印刷紙工株式会社群馬工場を訪問し、同社の印刷部門のVOC測定を行った。

同社は特殊パッケージ印刷・加工に特化され、高級パッケージの企画・デザイン・プリプレス・プレス・ポストプレス加工まで社内での一貫生産を確立されている。本工場の従業員数は29名で、平均年齢21歳と言う若い力の構成になっている。

経営者はこの10数年で一気に3代目社長引き継がれた、古くて新しい社風を持つ会社である。祖父の創業者が84歳で他界され、事業を継いだ2代目長男社長がまもなく病死され、米国留学から帰り、ある印刷会社で修業していた孫の現社長が26歳の若さで事業を継承されたのだ。

先代から受け継いだ特殊パッケージの事業に、米国仕込みの知的所有権確保、社内でのパッケージデザインの考案の仕組み、特殊原反の印刷加工技術の確立をなしとげ、10年を得た今、清水社長は満を持してこの新工場の建設に臨んだ。

2年かけて新工場の建設と新鋭機の導入のシュミレーションを作成した。文京区音羽の旧工場を売却し、創業者の出身地でもある館林の工業団地に工場を移設したが、従業員の大半が家を引っ越して館林への移住に賛同したこともあり、円滑に新工場の立ち上げが始まった。清水社長は以前から、欧米のパッケージ工場を50社ほど見学していて、これをベースに未来に夢をかけた投資を決意したのだ。

2007年4月に完成したこの工場の主力機は、世界最初のローランド菊全版UV10色機(反転ユニット付き)と言う機械であった。その他、菊全版UV7色機、菊全版UV5色機が設置されていた。

昼食時、機械の停止されている時の印刷室内は、どこを測ってもT-VOC値は0ppmであった。ところが、機械を動かして印刷状態に入っても室内のT-VOC値は0ppmを示している。これは機密性を保つ中で、空気の対流をはかる工夫が凝らされているのが大きいと見た。自動シャッターの右に通風扉を設けていたが空気の対流は見事にはかられている。

計測のため、UV10色印刷機の1?4胴に水なし用のプロセス4色+UVニスを使い、6?10胴に水あり版用のプロセス4色+UVニスで印刷することにし、両印刷方式の比較を行った。

印刷作業に入ったが、1?4胴の水なし版部分はどのユニットをはかってもVOC量は0ppmである。

6?9胴の水ありユニットを測ったがここも0ppmを示していた。ちなみに、湿し水循環タンクを計測したら、ここからは73ppmを示したが、以前の我々の計測事例から見ると大変低い値である。このエッチ液はMT80NHが使われていた。

環境へ十分に配慮された工場設計、新鋭のローランドUV10色・反転印刷機は環境配慮面でも細かい工夫の凝らされている機械であり、使用印刷材料の厳選と相まって大変低い、VOCの値を示している。

次にローラ洗浄にあたった。水なし印刷の部分、第1胴(墨)は1261ppm、第2胴(藍)は1021ppm、第3胴(紅)は500ppm、第4胴(黄)は970ppmとなった。

他方、水あり印刷の部分の第6胴(墨)は1228ppm、第7胴(藍)は625ppm、第8胴(紅)は625ppm、第9胴(黄)は1021ppmとなった。UVインキを落とすには強力な溶剤が必要で、一部はスポイドで部分洗いをしていたのが数値を押し上げたようである。

他方自動ブランケット洗浄は、ニッカ製含侵タイプのものを組み込んでいたが、水あり印刷部、水なし印刷部とも洗浄時のVOC放散値は0ppmの値をした。

3Fの屋上に上がり、排気ファンのVOC計測を行ったが、この値も0ppmであり、外へは全くVOCを放出していなかった。環境配慮には完璧に近い工場である。

計測が終わった時、ある上場会社のクライアントが工場見学に来られていた。あるパッケージデザインの見本刷りを行っていたが、130倍拡大網点をPC上に映し出し、水なしと水ありの網点品質の比較を見せていた。

水なしの網点はフリンジがなく、くっきりとしているのがわかる。水ありの網点はどうしてもフリンジが出る。ドットゲインカーブを描いてみたが、水なしではきれいな連続的な曲線を描くが、水ありのものはどこかで歪が出て、連続線を描いてくれない。肌色の再現を同じ模様で水ありと水なしで見せてくれたが、この網点品質とドットゲインカーブの連続性のお陰で肌色がなめらかに再現してくれる。ともすると、水なし印刷では網点のガザツキが出るとの所見が従来出ていたが、CTPを駆使すると、これは当たらないことがわかる。

同社ではプラスチック素材のUV印刷を頻繁に行うが、これらの原反には印刷適性を高めるため、特殊な薬剤が表面に塗布されている。水あり印刷で印刷していると、この薬剤が湿し水で溶出され、これが湿し水に混入してくれ、ついに、版面に地汚れ現象を起こす。水なしに切り替えた途端、この薬剤溶出の地汚れ現象は見事克服することができた。原反が非吸収素材になればなるほど、水あり印刷での水との戦いは避けられなくなる。この点、今更ながら水なし印刷の良さの再発見をこの印刷工場でしていただけた。

特殊原反パッケージものが一貫してこなせられる、素晴らしい工場でのVOC計測であったが、環境面では最高点の得点をえられる内容であった。同時に、その印刷品質はトップクラスのものであった。清水印刷紙工様のさらなるご健闘をたたえたい。

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気密の印刷室にして、通気口として設けた開き窓

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新鋭機ローランド900 UV10色・反転印刷機の全景

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印刷機から発生するVOC量の計測

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3F屋上に取り付けられた排出ファン

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排出ファンから出る排気のVOC値は0ppmを示す

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新鋭機にはインキミスト防止装置が付設されていて、その環境への配慮は他に類を見ない内容のもの

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新鋭機は印刷中の用紙の品質管理を行ってくれるが、そのイーグルアイ装置

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